視覚デザイン学科3年生、伝達デザインコースの情野りりか。りりさんの愛称で友人たちから呼ばれている彼女はデジタルデザインアトリエでいつも作品を制作している。空調機の音が静かに響く朝でも学生が集まり少し賑やかになる昼間でもDDAで真摯に課題と向き合っている。彼女の真っ直ぐな姿勢の中にはしかしワクワクした無邪気な気持ちを忘れない姿も垣間見ることができる。
今年新しく買い換えたばかりの緑のリュックは彼女がとても気に入っているものだ。多くの課題に追われ忙しくなっていく日々の中で置き去りにされる「作ることを楽しいと思う気持ち」を忘れないために彼女はいつも持ち歩くリュックの中にワクワクするものをたくさん詰め込んでいる。このリュックは彼女が楽しくものづくりをするためのアイデアの引き出しでもあり、宝箱でもある。
アイデアを書き出すクロッキー帳には実は可愛らしい落書きがたくさんある。優しいテイストの彼女の絵のほとんどは友人を描いたものである。ただの落書きと言えばそうかもしれないがデザインのヒントというのは存外はふとしたところに転がっているものだと思う。
緑のリュックだけではなく彼女の持ち物は実にカラフルである。お財布や貴重品を入れているポーチは眩しいほどに黄色く、贈り物のハンドクリームも鮮やかなオレンジが彼女にぴったりだ。リリさんの作品を見るとシックで大人な印象を抱くことが多いが、彼女自身は鮮やかなビビットカラーを好んでいるのかもしれない。「あの子がこんなものを酢くるんだ!」というように作るものと好きなものに違いがあるのも視覚デザイン学科の学生たちの面白いところである。
入学おめでとうございます。視覚デザインの授業も3年生の課題を一通りやると意外と成長したなと感じることが多いです。大変なことも多く楽しいという気持ちを忘れずに、課題に忙殺されるとそんな余裕もなくなるけれど、ワクワクする気持ちを大切に学生生活を謳歌して欲しいと思います。