長岡造形大学は設備が充実している学校である。撮影スタジオや映像編集室などプロが使用するような場所を学生の頃から使えるのは最大の利点とも言えよう。しかし視覚デザイン学科には普段作業する専用のアトリエがない。人数が多いことも理由に挙げられるが、そもそも僕たちはMacさえあればどこでも作業できるからだ。一見デメリットにも思えるアトリエがない点。Mac片手にさすらう視覚デザイン学科の「アトリエ」をのぞいてみよう。
一年生は午前中に毎日基礎造形なる授業がある。みんなで朝の9時からアトリエに集まって作品を作るのだ。授業自体は午前中で終わるが午後からも制作のために教室に残る生徒もたくさんいる。昼のアトリエはピンと張り詰めた朝のアトリエとはまた異なる静けさがある。この学校にいる学生の始まりはこの第3アトリエからなのである。
学校で作業することも多いけど家で作業する方が集中できる。私の家には本がたくさんあるけれど、それはデザインに関係する書籍ばかりじゃない。好きな作家の小説、気になった特集の雑誌、息抜きの漫画。でもアイデアというのは案外、こういう関係のないものから湧いてきたりすると思う。
造形大学には毎日学校に遅くまで残って、自分の制作に取り組んでいる人がたくさんいる。彼女もその一人だ。リュックひとつで身軽に学校にきていつものDDAの席で作業をする。そんな彼女の傍らの鞄の中には制作に欠かせないものから面白いものまでたくさん詰まっている。クリエイティブはいつだってワクワクするものに囲まれてやらなくちゃね!
カメラを構える彼女の眼差しはレンズの向こうの何かを捕まえようとまっすぐ被写体に向けられる。しかしそんな彼女の所在はあまり掴めない。学校だったり自宅だったり、友達の家やカフェなどその日によってまちまち。カメラさえあればどこへだって行けるし、どこでもなんでもできるからだ。